黒竹を訪ねて、和歌山へ 3 完

こんにちは。 イチカワ トモタケです。
これまでのジャーナルでは、黒竹(くろちく)の竹林の様子と、
伐採された黒竹が丸竹の製品になるまでをご紹介してきました。
金﨑竹材店では、丸のままの黒竹だけでなく、枝や先端部分まで、
黒竹という素材をできるだけ余すことなく活かし、さまざまな製品にしています。
こちらで、まずご紹介するのは「長穂(ながほ)」という、
細い枝をのこしたまま、竹の先端部分まで活かしたものです。
さらに、その長穂のなかから太い竹を選んで束ねたものは、
「太長穂(ふとながほ)」とよばれます。

金﨑竹材店では、和歌山や高知から運んできた竹を、
太さや長さに応じて仕分けていきます。
そのうち細い竹は、大きく分けて、
・枝打ちをして、丸のままの黒竹製品にするもの
・枝をのこしたまま長さを整え、「長穂」「太長穂」にするもの
のふたつに分けられます。

これらの製品は、竹の先端から長さを測ります。
およそ2m20cmのところで、写真のように「根切(ねぎり)」という作業をおこない、
竹の根元側を切りおとします。
竹の先端を活かした製品のため、長さも先端を基準に測るのだそうです。

つづいてはこちらです。
先ほどの「長穂」とすこし似ていますが、こちらは「黒穂(くろほ)」とよばれるものです。
黒穂は、黒竹の枝打ちの際に払いおとされた枝を集めたもの。
長穂よりも短く、全長はおよそ80cm〜1mほどです。

長穂にしても黒穂にしても、かさばる竹や枝を、
ここまでコンパクトに束ねられるものなのだなあと感心していると、
「これから長穂をまとめますけど、それも見ますか?」
と、金﨑さんが声をかけてくださいました。
もちろん、ぜひ、とお願いして、その様子も見せていただくことにしました。

お父様の昭仁さんと息子の弘昭さんが、それぞれワイヤーのついた木製の「しめ棒」を手にします。まず、ワイヤーを竹の束の下へ通し、そのあと二人でしめ棒を交換します。 
そして、交換したしめ棒を竹の下に当て、てこの原理をつかいながら、ぐっと力をかけて束を締めていきます。 
しめ棒が地面につくころには、竹の束はかなりしっかりと締まっています。 
しめ棒でしっかりと締めている間に、弘昭さんが手早くロープで束ねていきます。 
根元側がしっかりまとまっているため、最後の穂先部分は、しめ棒を使わずに束ねていました。 
こうして、長穂があっという間にひとつの束へとまとめられていきます。金﨑さん親子にとっては、きっと日々繰り返しているいつもの作業なのだと思いますが、初めてその様子を見る私には、息の合った連携と迷いのない手の動きがとても鮮やかに映り、思わず見入ってしまいました。
長穂をお二人で「しめ棒」をつかいながら、包んでいく様子を動画でご覧ください。
(※音楽が流れます)
こちらは黒穂を包んでいく様子です。どうぞご覧ください。
(※音楽が流れます)

長穂・太長穂、そして黒穂は、いずれも竹垣づくりや造園などで
つかわれることの多い製品です。
配送の都合上、業者様向けのご案内となりますが、
以下のページより、和歌山県からの産地直送品としてご注文いただけます。
【産地直送品・個人宅配送不可】和歌山県/黒竹 長穂(ながほ)・太長穂(ふとながほ) 全長約220cm/18kg入り 2タイプ 211331
【産地直送品・個人宅配送不可】和歌山県/黒竹 黒穂(くろほ) 全長約80cm-1m/18kg入り 211332-1

私が取材にうかがっているあいだにも、
熊野古道を散策されていた外国のお客様が、作業場を訪れていました。
お父様の昭仁さんは、スマートフォンを活用しながら、
外国からのお客様にも丁寧に竹のことを伝えていらっしゃいました。
竹や竹製品にふれる機会がすくない海外の方にとっても、
こうして作業場を訪れて竹を間近で見ることは、興味深いものだったのではないかと思います。

さて、長穂や黒穂は、配送の都合上、事業者様向けの商品となりますが、
そのほかにも、金﨑竹材店さんとお話をしたり、
作業の様子を見せていただいたりするうちに、とても惹かれたものがありました。
それが、上の写真にある「黒竹の小枝」です。
枝打ちでおとされた小枝も、一つひとつ大切に保管されていました。
その素朴なすがたや、黒竹ならではの風合いを見ているうちに、
この小枝だけでも十分に魅力のある素材だと感じられるようになりました。
黒穂のような18kgの束では、一般のご家庭でつかうには多すぎます。
そこで、もっと気軽に取り入れていただけるよう、
1本からお選びいただけるかたちにできないか、金﨑竹材店さんに相談しました。

こちらは1本の小枝を持った様子。 
こちらは3本。 
こちらは5本。 
こちらは10本をまとめたものです。たとえば、陶器やガラスの花器にざっくりと入れるだけでも、野趣をのこしながら、落ちついた佇まいになりそうです。

黒竹の小枝は、こちらのページからご購入いただけます。
どうぞご覧ください。
【産地直送品】和歌山県/黒竹 小枝 1本・2本・3本・5本・10本 211341

そして、もうひとつ気になったのが、こちらの黒竹の葉です。
葉も捨てることなく、丁寧に集めて保管されていました。

工作やディスプレイ、撮影時のスタイリングをはじめ、
舞台の小道具や庭まわりの演出など、さまざまな場面に取り入れていただけたらと思います。
黒竹の葉の商品ページはこちらから。
【産地直送品】和歌山県/黒竹 葉 100g入り 211342-1

今回の和歌山での滞在はみじかい時間でしたが、
さまざまな気づきがありました。
黒竹を育てることは、
まず、たけのこを守るところから始まっていること。

山で伐採され、作業場へ運ばれてくるまでにも、
長い時間と手間がかかっていること。

何百本、何千本とある黒竹の一本一本に、人の手がかかっていること。
しかも、それは一度きりではなく、いくつもの工程のなかで、
おなじ竹に何度も人の手が入り、すこしずつお客様のもとへ届けられるすがたに整えられていくこと。

もともと金﨑竹材店を訪ねようと思ったきっかけは、
漠然と「丸のままの黒竹」について相談してみたい、というものでした。
けれど、実際にうかがってみると、黒竹を活かしたさまざまな製品があり、
取材をするなかで、「これもお客様にお届けできたら」と思えるものにも出会いました。
真竹が、たけのこや竹の皮、そして稈(かん)まで、
さまざまなかたちで活かされているように、
黒竹もまた、一本の竹をできるだけ無駄なく活かしていることを知りました。

また、100年以上にわたり黒竹を専門にあつかってきた金﨑竹材店。
枝や葉までできるだけ無駄にせず、それぞれを活かしていこうとする仕事のあり方からも、
黒竹という素材を大切にしてきたことが伝わってきました。
私自身、今回の取材を通して、黒竹という素材の奥深さをあらためて知ることができました。
このジャーナルを通して、その魅力の一端を皆さまにも感じていただけましたら幸いです。
今回ご紹介した黒竹の商品も、ぜひ1本から手に取って、
その表情や風合いをご覧いただけたらと思います。

またいつか、伐採の時期にもうかがい、
その様子をこちらのジャーナルでご紹介できたらと思っています。
金﨑さん、このたびは本当にありがとうございました。
完










